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高齢者の歩行困難の原因とは?初期サイン・放置リスク・対処法を解説

2026.06.29

最終更新日 2026.7.10.

「最近、親の歩き方に違和感がある」「外出を嫌がるようになった」このような変化に気づいたとき、どう対応すればよいか戸惑う方も多いのではないでしょうか。

高齢者の歩行困難は、加齢だけでなく、疾患や心理的な要因が重なって起こることがあります。進行すると転倒や閉じこもりにつながり、心身の健康に影響するケースもあるため、早めに変化に気づくことが大切です。

この記事では、歩行困難の初期サインや原因、放置したときのリスク、具体的な対処法までをわかりやすくご紹介します。外出を諦めず、これからも自分らしく過ごしてもらうためのヒントとして、お役立てください。

高齢者の歩行困難|注意したい初期サイン

歩行困難は、多くの場合、日常のちょっとした変化として少しずつ現れます。「年のせいかな」と見過ごしてしまいがちですが、早めに気づけるかどうかが、原因の確認や適切な対応につながります。

以下の様子が見られたら、歩く力が衰え始めているサインかもしれません。

・歩くスピードが遅くなった、歩幅が狭くなった
・前かがみになって歩くようになった
・つまずいてバランスを崩すことが増えた
・階段を上るのに手すりが必要になった
・横断歩道を青信号のあいだに渡りきれなくなった
・15分ほど続けて歩くのが難しくなった

また、「疲れるから」「寒いから」と理由をつけて外出を避けるようになった場合も、見逃せない変化です。背景には、外出そのものへの不安が隠れている可能性もあります。

小さな変化のうちに気づければ、悪化する前に対応できます。離れて暮らす親であれば、定期的に様子を見たり、近況を聞いたりする機会をつくっておくとよいでしょう。

高齢者が歩行困難になる主な原因

歩行困難の背景には、大きく分けて「加齢による変化」と「疾患による影響」があります。また、複数の原因が重なっているケースも少なくありません。

まずは、それぞれの特徴を知っておきましょう。

加齢にともなう筋力やバランス能力の低下による影響

歩行困難の主な原因の一つとされているのが、加齢による下肢(脚)の筋肉量の減少です。「筋肉量が減ると活動量も少なくなり、その結果さらに筋肉量が減りやすくなる」という悪循環が、歩行能力の低下につながることがあります。

一般的に、歩行速度は65歳ごろから徐々に低下し始め、男性は80歳以降、女性は75歳以降に日常生活へ支障が出始めるとされています。ただし、これはあくまで目安です。日々の食生活や生活習慣、持病の有無によって、影響が出る時期は一人ひとり異なります。

本人は「まだ歩けるから大丈夫」と思っていても、気づかないうちに足腰の筋力は低下しているかもしれません。日々の小さな変化を見逃さないことが大切です。

参考:健康長寿ネット(国立長寿医療研究センター)

加齢による筋肉量の減少については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。

あわせて読みたい:サルコペニアとは?原因・症状・予防法を徹底解説!対策と運動方法

関節や骨、脳や神経の疾患による影響

歩行困難の原因は、加齢だけではありません。疾患が背景にある場合もあり、大きく「関節・骨の疾患」と「脳・神経の疾患」に分けられます。

それぞれの特徴は以下のとおりです。

・関節・骨の疾患(変形性関節症、骨粗しょう症など):膝や腰の痛み、骨折などにより歩行が不安定になり、歩くこと自体に不安を感じる場合があります。

・脳・神経の疾患(脳梗塞、パーキンソン病、認知症など):脳梗塞では麻痺や運動機能の障害が、パーキンソン病では体の動かしにくさが、歩行困難につながることがあります。認知症では、認知機能の低下にともなって歩行が不安定になることがあります。

疾患が原因の場合は、適切な治療やリハビリによって症状が和らぐケースもあるため、「年のせいだろう」と自己判断しないことが大切です。痛みやしびれ、歩き方の急な変化に気づいたら、早めに医療機関を受診しましょう。

参考:次期国民健康づくり運動に関する委員提出資料(P4)

高齢者が歩行困難を放置すると起こりやすい3つのリスク

歩行困難は、放置するとさまざまな健康リスクを招きます。

ここでは、特に知っておきたい3つをご紹介します。

活動量が減り筋力が低下しやすくなる

動く機会が減ると、筋力だけでなく全身の働きにも影響します。心肺機能が落ちて息切れや動悸が起こりやすくなり、代謝の低下、便秘、体重増加、血糖値の上昇といった問題が重なりやすくなります。

特に注意したいのが、サルコペニア(加齢などにより筋肉量や筋力が低下する状態)との悪循環です。動かないことで筋肉量や筋力がさらに低下し、日常の動作が難しくなるだけでなく、転倒や要介護のリスクも高まります。

こうした低下が積み重なると、健康寿命(心身ともに元気で、自立して過ごせる期間)にも影響しかねません。悪循環を防ぐためにも、体の変化に気を配りながら、無理のない範囲で運動を続けていきましょう。

外出機会が減り孤立しやすくなる

歩行に不安を感じるようになると、「階段が上れないから集まりに行けない」「杖をついた姿を見られたくない」など、外出や人との交流の機会が自然と減っていきます。こうした体の事情と心理的な遠慮が重なり、外出を控えるようになるケースも少なくありません。

人と話す機会が減ると、孤独を感じたり、気分が落ち込んだりすることがあります。楽しみや話し相手が減ることで意欲が下がり、活動量がさらに減る悪循環につながることもあるでしょう。

歩行困難をきっかけにした閉じこもりを防ぐためには、日頃から会話を交わし、家族が早めに変化に気づける関係をつくっておくことが大切です。

認知機能の低下につながる可能性がある

人との会話や交流は、脳にとってよい刺激です。

しかし、歩行困難により外出や移動の機会が減ると、社会的な刺激が減少し、認知機能低下のリスクが高まる可能性があります。

歩くときには、バランスを取る・周囲を認識する・目的地を定めるといった複雑な作業が同時に行われ、脳の広い範囲が活発に働きます。こうした点から、歩く行為は体だけでなく、脳にとっても大切な刺激となり、認知機能の維持にもつながるでしょう。

心と体の健康を守るために、無理のない範囲で外出や歩行の機会を持つことが大切です。

参考:健康長寿ネット(国立長寿医療研究センター)

参考:東京都健康長寿医療センター(地方独立行政法人)

高齢者の歩行困難を予防・改善するためにできること

歩行困難のサインに気づいたら、早めに動き出すことが大切です。「もう少し様子を見てから」と後回しにしていると、取り入れられる対処法が少なくなる可能性があります。

ここでは、状態に合わせて段階的に取り入れたい3つの方法をご紹介します。

医療機関・専門家に相談する

歩行困難の原因はさまざまで、ときには複数が重なっている場合もあります。「年のせいだろう」と自己判断せず、歩き方の変化や膝・腰の痛み、しびれが気になるときは、医療機関へ相談しましょう。

歩行の不調は、症状や原因によって相談すべき診療科が異なります。整形外科や脳神経内科など、症状に合った窓口選びが大切です。何科に行けばよいかわからないときは、まずかかりつけ医に相談するとよいでしょう。

原因を早めに見つけ、そのうえで適切に対処していくことが、歩行への不安を和らげる手助けになります。

あわせて読みたい:リハビリテーションの意味を解説!高齢者の生活におけるリハビリとは

適切な運動を日常に取り入れる

歩く力の維持や改善には、日常生活の中で無理なく体を動かすことが役立ちます。筋力トレーニングやバランスを養う運動を取り入れると、筋力の維持や向上、転倒の予防、関節の動かしやすさの改善が期待できます。

「毎日しっかり運動しなければ」と気負う必要はありません。家事や散歩などで、今より10分多く体を動かすことから始める方法もあります。ただし、痛みや強いふらつきがある場合は無理に運動せず、医師やリハビリの専門職へ相談してください。 

体を動かすことは、筋力の維持だけでなく、気分転換や心の健康にもよい影響をもたらします。続けられる運動を選び、自分のペースで無理なく取り組んでいくことが大切です。

歩行を助ける福祉用具の活用を検討する

筋力を取り戻そうと歩いてみても、「ふらつきが怖くて外出が不安」と感じる方もいるでしょう。そのときは、歩行を助ける福祉用具の活用を考えてみてはいかがでしょうか。

杖(ステッキ)は、片足にかかる負担を和らげ、歩くときのバランスを補う用具です。杖だけで不安な場合は、体を支えながら移動できる四輪の歩行車が選択肢になります。

四輪歩行車は、左右の持ち手に体重をかけながら押して進むため、杖よりも広い範囲で体を支えられます。荷物を入れるカゴや、休憩用の座面が付いた製品もあります。なお、見た目が似ているシルバーカーは、主に荷物の運搬や休憩を目的とした用具で、歩行を支える歩行車とは用途が異なります。

福祉用具を選ぶ際は、ケアマネジャー(介護の相談役となる専門職)や福祉用具専門相談員に相談すると、自身の状況に合ったものを見つけやすくなります。

あわせて読みたい:歩行器の正しい選び方!気をつけるべき注意点をあわせて紹介

歩行困難な高齢者が外出を続けるための選択肢|電動車いす

福祉用具を使っても、長い距離を歩くのは難しい方もいます。それでも「外出を諦めたくない」という方に検討してほしい選択肢が、電動車いすです。

電動車いすは道路交通法上「歩行者」として扱われ、運転免許がなくても利用可能です。

特にハンドル形電動車いす(シニアカー)は、荷物を置ける前かごを備えた車体が多く、買い物や通院にも便利です。

道中は電動車いすで移動し、お気に入りのお店の中や公園内は自分の足で歩く。このように組み合わせれば、体力を温存しながら行動範囲を広げられるでしょう。また、行きたい場所へ行けることで外出への意欲が生まれ、現地で自然と歩く時間が増える場合もあります。

外出への一歩を、げんき工房がサポートします。電動車いすが気になる方は、ぜひ以下をご覧ください。

あわせて読みたい:電動車いすとは?選び方、レンタル、補助金の完全ガイド

まとめ:高齢者の歩行困難は早めのケアと外出しやすい環境づくりが大切

高齢者の歩行困難は、放置すると閉じこもりや認知機能低下のリスク、転倒による骨折など、深刻な状態につながる可能性があります。だからこそ、早めにサインに気づき、医療機関への相談や日常のケアから始めることが大切です。

一方で、歩行に不安があっても、福祉用具や電動車いすを上手に活用すれば、無理なく外出を続けやすくなるでしょう。行動範囲が広がれば活動量も増え、心と体の健康維持にもつながります。

安全に外出する工夫を重ねながら、これからも自分らしい毎日を楽しんでいきましょう。

あわせて読みたい:電動車いすで散歩に出よう!心身が元気になる安心お出かけガイド

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