バリアフリーの問題点とは?車いすでの外出を安全にする工夫を紹介
- 2026.01.29
最終更新日 2026.1.29.
「バリアフリー対応のはずなのに、実際は段差があった」「スロープの勾配がきつく、車体が傾いて怖かった」車いすの外出で、このような経験をされた方もいるでしょう。近年、駅や商業施設のバリアフリー化は進んでいます。
しかし現場では、ちょっとした段差や狭い通路、情報不足など思わぬ不便や不安に直面する場面も少なくありません。
本記事では、バリアフリーが抱える問題点を整理し、車いすでの外出時に感じる「見えない不安」を軽減するための工夫を紹介します。設備だけに頼らない、外出をより安心して楽しむためのヒントとして、ぜひお役立てください。

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目次
バリアフリーとは?

バリアフリーとは、高齢者や障がいのある方を含め、誰もが安心して生活・外出できるように、社会にある障壁(バリア)を取り除く考え方です。一般的には、バリアフリーには次の4つのバリアがあるとされています。それぞれについて、具体的な例を紹介します。
①物理的なバリア
道路や建物の構造によって移動や動作が妨げられる障壁で、車いすユーザーが最も直面しやすい問題です。
・お店の入り口や歩道に段差があり、車いすで通れない
・通路が狭く、すれ違いが困難である
・駅のホームや階段に昇降設備がない
②制度的なバリア
ルールや制度によって、利用や参加が制限されることを指します。
・障がいを理由に、就職や資格取得が制限される
・点字による試験の受験が認められない
・盲導犬を連れての入店や乗車を断られる
③文化・情報面のバリア
障がいがあることによって、必要な情報を正しく受け取ることができない障壁です。
・音声案内がなく、視覚障がい者が信号機の色や状況を判断できない
・字幕や手話がなく、聴覚障がい者がテレビの内容を理解できない
・新聞や書籍が読めない、タッチパネルの操作がわからない
④意識上のバリア
偏見や無理解、配慮不足による心理的な障壁です。
・高齢者や障がいのある方への無関心
・「かわいそう」「自分とは違う」といった偏見や差別
・点字ブロックの上に物を置く、車いす用駐車場に駐車するなどの配慮不足
※参考:政府広報オンライン|知っていますか?街の中のバリアフリーと「心のバリアフリー」
このように、バリアフリーは設備面だけでなく、制度・情報・意識などさまざまな要素で成り立っています。
あわせて読みたい記事:「バリアフリーをわかりやすく解説!誰もが快適に暮らすための取り組み」
バリアフリーが抱える4つの問題点

バリアフリーは年々整備が進んでいるものの、実際の外出では思わぬ不便や不安を感じる場面が少なくありません。その背景には、設備だけでは解決できない課題や、地域・運用面のばらつきがあります。ここでは、バリアフリーに残る主な問題点と、車いすでの外出にどう影響するのかを整理します。
①物理的な整備が進んでいない
バリアフリーと聞くと、段差解消やスロープ設置などの物理的な整備を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、こうした整備がすべての場所で十分に進んでいるわけではありません。
特に、古い建物や公共施設では、構造上の制約や改修にかかる費用の問題から、対応があと回しになっているケースもあります。その結果、エレベーターが設置されていない駅や、車いすでは通行しづらい歩道が残っている地域があるのが現状です。
車いす利用者にとっては、「行ける場所」と「行けない場所」が混在する状況そのものが、外出への不安を生み出します。事前に調べても情報が不十分だと、現地で立ち往生するリスクを考え、外出をためらう要因になってしまいます。
②周囲の理解や配慮が不足している
設備が整っていても、周囲の理解や配慮(ソフト面)が十分でない場合、安心して外出できない場面もあります。
例えば、車いす専用駐車場に一般車が駐車していたり、点字ブロックの上に自転車が置かれていたりする場面は、今も珍しくありません。また、困っている様子を見かけても「どう声をかけてよいか分からない」と感じ、支援をためらう方もいるでしょう。
外出中に車いすの操作ミスや小さな不具合が起きていても、本人が助けを求めない限り、支援につながりにくいのが現実です。設備だけでなく、周囲の理解や配慮があってこそ、安心して外出できる環境が整います。
③必要な情報が得にくい
インターネット上の施設情報には、「バリアフリー対応」と記載されていても、実際にどこまで対応しているかが分からないケースが少なくありません。
施設内の動線や段差の有無、スロープの勾配、多目的トイレの位置など、車いす利用者にとって重要な情報が十分に共有されていないという声も聞かれます。
事前に調べても実情が分からないと、現地で困る可能性を考えて外出をためらってしまうでしょう。特に初めて訪れる場所では、情報不足そのものが心理的なハードルとなり、外出の選択肢を狭めてしまいます。
④地域による対応の差が大きい
バリアフリーの整備状況は、自治体や施設ごとに差があるのが現状です。同じ公共施設であっても地域によって予算や人材の確保状況が異なり、利用しやすさに差が出ています。例えば、隣の市には駅にエレベーターがあるのに、自分の地域にはない、といった状況も珍しくありません。
こうした地域差があると、安心して出かけられる場所が限られるため、車いす利用者やその家族にとって外出計画を立てにくくなります。
バリアフリーの問題点を補うための4つの工夫

バリアフリーの問題点は、予算や人材の制約、制度の浸透不足などから、すぐに解消することは難しいのが現実です。だからこそ、環境が整うのを待つだけでなく、家族や利用者自身でできる工夫を取り入れることが大切です。ここでは、今日からでも実践できる4つの工夫を紹介します。
①外出前に利用予定のルートや車いすの状態を確認しておく
物理的なバリアを完全になくすのは難しくても、事前の準備でリスクを減らすことは可能です。
「行ってみないと分からない不安」を軽減するには、利用予定のルートや駅・施設のバリアフリー対応状況を事前に確認しておくことがポイントです。具体的には、エレベーターの有無やスロープの勾配、通路幅、多目的トイレの位置などが挙げられます。
また、車いす本体の点検も欠かせません。ブレーキの利き具合、タイヤの空気圧や摩耗状態を出発前に確認しておけば、外出中のトラブルを予防できます。安心して外出を楽しむためには、訪れる環境と車体の状態、両方を確認しておきましょう。
あわせて読みたい記事「【電動車いすの点検を習慣に】安心を支えるチェックポイントを解説!」
②外出時の行動ルールを事前に決めておく
出発前には、家族間でスケジュールや行動ルールを共有しておくことも大切です。具体的には、次のような点を事前に決めておくと安心です。
・外出前に、必ず行き先・経路・帰宅予定時間を家族に伝える
・「無理をしない」「危険を感じたら引き返す」といった判断基準を、本人と家族であらかじめ共有しておく
こうしたルールがあれば、本人は安心して外出でき、家族も過度に心配せずに見守りができます。周囲の助けも大切にしながら、自分たちでできるリスク軽減方法を取り入れてみましょう。
③気づいた不便さを家族や地域で共有する
バリアフリー環境を改善していくには、利用者の声を届けることも欠かせません。車いすでの外出で感じた不便さや危険なポイントは、利用者にしか分からない貴重な情報です。自治体や施設への意見提出、アンケートへの協力など、できる範囲で現場の声を届けていきましょう。
一方で、「この施設は使いやすかった」という情報も大切です。家族や地域の方と共有すれば、安心して外出できる選択肢が広がり、地域全体でのバリアフリー意識の向上にもつながります。
④ICTを活用して外出状況を見える形にする
外出中の状況を把握する手段として、ICT※の活用も有効です。(※ICT:通信やインターネットを使って情報を共有する仕組み)
位置情報や行動履歴を確認できる仕組みを取り入れることで、外出中の様子を離れた場所から把握できるようになります。本人に頻繁な連絡を求めなくても状況が分かるため、見守る側の負担が軽減され、本人も自由に外出を楽しめます。
周囲の目や声かけだけに頼らず、テクノロジーで情報を「見えるようにする」工夫も、家族の安心につながる選択肢の一つです。
バリアフリーの問題点を、電動車いすの見守りサービス「モニスタ」でサポート

「モニスタ」は、電動車いすに取り付けることで外出中の状況を「見える化」し、家族が離れた場所でも安心して見守れる機器です。
専用の管理ページで現在の走行地点や当日の走行ルートをリアルタイムで確認できるほか、外出中に接触事故や縁石の乗り上げなど強い衝撃があった場合は、管理ページのアラート一覧に表示されます。「今どこにいるか」や「安全運転ができているか」が分かるため、家族の不安軽減に役立つでしょう。
さらに、電動車いすの使用状況をもとに消耗部品の交換時期を予測し、時期が近づくとスタッフから電話でお知らせ。交換作業も専門のスタッフが対応するため、メンテナンスの心配なく使い続けられます。
モニスタを導入すれば、利用者の外出中の様子が分かりやすくなり、家族も過度に心配せず、本人は自由に外出を楽しめる環境が整います。
まとめ:バリアフリーの問題点を理解し、安心できる外出を目指そう

バリアフリー化は、車いすの安全な外出を支える大切な取り組みです。しかし、設備や環境の整備だけで、外出中の不安がすべて解消できるわけではありません。特に、外出の様子が見えない家族にとって、安全面やトラブルなどへの心配が尽きないでしょう。
だからこそ、国や自治体による環境整備を待つだけでなく、家族間でのルール共有、出発前の安全点検、モニスタのようなICTの活用など、自分たちでできる工夫を取り入れることが大切です。
設備だけに頼らない「安心の仕組み」を少しずつ整えながら、車いすでの外出をより安全に、そして自由に楽しんでいきましょう。



