電動車いすによる事故発生の背景と原因!未然に防ぐ対処法も解説
- 2025.07.07
最終更新日 2025.7.7.
「電動車いすは便利だけど、事故が心配」「高齢の家族がひとりで使うのは不安」と、感じている方もいらっしゃるでしょう。
実際、高齢者による電動車いすの事故は増加傾向にあり、踏切での接触事故や側溝での転倒など場所を問わず発生しています。
電動車いすによる事故発生のリスクを減らすには、日々の点検や交通ルールの確認、見守りツールの活用などが効果的です。
この記事では、電動車いすにおける最新の事故傾向やよくある事例、安全に使い続けるためのポイントをわかりやすく解説します。
利用者の安全と家族の安心のために、ぜひ参考にしてください。

電動車いす、電動カートのレンタル・販売を行う専門会社。高い技術力と豊富な実績で運転指導からメンテナンスまでトータル的にサービスを提供。そのほか歩行器のメーカーとしても、超コンパクトサイズから大型モデルまでラインナップ豊富に展開。
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目次
電動車いす事故の現状とは?増加傾向にある背景とデータ

電動車いすによる事故は年々増加傾向にあり、死亡事故や重症に至るケースも少なくありません。特に目立つのは、介護保険で貸与される「ハンドル形電動車いす(シニアカー)」を使用する高齢者の事故です。
背景には、高齢化や運転免許の返納が進むなかで、車の代わりに電動車いすを利用する高齢者が増えていることが挙げられます。また、加齢にともなう操作ミスや注意力の低下も、事故リスクを高める要因となっています。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)によると、2013年〜2023年の10年間で電動車いす関連の事故発生件数は52件。そのうち8割が死亡・重傷という深刻なものでした。
これらの事故の約75%は製品の故障などではなく、操作ミスや注意不足などの使い方によるものであると報告されています。
【事例】電動車いすによる事故

電動車いすは通院や買い物など、高齢者の日常の移動を支える心強い存在です。その一方で、住宅街や駅、踏切といった身近な場所で起きる事故は決して珍しくありません。
ここでは、実際に報告されている代表的な事故をタイプ別にご紹介します。
事例①|転倒・転落事故
電動車いすの転倒・転落事故として、以下の事例が報告されています。
・操作ミスで道路の下、約1.5メートルの用水路に転落して死亡
・坂道を走行中、操作ミスで壁に衝突して死亡
路肩に寄りすぎて側溝に転落、急なトラブルによる操作ミスで転倒などの事例があります。
事例②|衝突事故
電動車いすの衝突事故の例は、以下のとおりです。
・日中、国道を横断中に車両と衝突して死亡
・夜間に車道を通行中、後ろから自動車に追突されて死亡
交差点や夜間の道路など、お互いの存在が認識しづらい状況では、自動車との衝突事故があとを絶ちません。
事例③|踏切事故
踏切では段差や線路のすきま、横断に要する時間といった特有の危険が潜んでおり、事故につながるケースが報告されています。具体例は以下のとおりです。
・踏切入り口付近の段差で前輪が脱輪して動けなくなり、列車と接触
・踏切を渡り終える前に下りてきた遮断機に引っかかって転倒し、列車と接触未遂
電動車いすでの移動において、事故リスクは常に身近にあります。特に、段差や坂道、交差点といった場所には思わぬ危険が潜んでおり、使用時には高い意識が必要です。
電動車いすの事故で加害者になるリスク

電動車いすでの事故は、被害者になるだけでなく、加害者になるリスクにも注意しましょう。車体に重さがあるため、接触すると歩行者にケガをさせるおそれがあります。
実際、停止していた自転車にぶつかり女性を負傷させたケースや、ベビーカーと接触して赤ちゃんがケガをした事例も報告されています。使用時は周囲への気配りを忘れず、安全な操作を心がけることが大切です。
電動車いすによる事故が発生する主な原因

電動車いすの事故は、利用者の行動や不注意が関係している場合も少なくありません。ここでは、車体側と利用者側の2つの視点から、事故の主な原因を整理します。
原因①電動車いすの動作トラブル
電動車いすはバッテリーやモーターで動く精密な機器です。安全に使い続けるには、定期的なメンテナンスが欠かせません。主な動作トラブルには以下のようなものがあります。
発生源 | 主な状態 | 予想されるトラブル |
---|---|---|
タイヤ | 摩耗・劣化 | 段差や坂道で滑りやすくなり、転倒の原因になる |
バッテリー | 残量不足・劣化 | 突然の停止により、思わぬ場所で立ち往生する |
ブレーキなどの操作系 | 動作不良 | 思い通りに止まれず、接触や衝突事故につながる |
構造部品(ハンドル・ジョイスティックなど) | 経年劣化・破損 | 急な操作不能により、移動や停止ができなくなる |
「まだ大丈夫」という思い込みや、点検・交換を後回しにする習慣が事故リスクを高める原因です。
また、電動車いすを屋外に置いておくと、雨ざらしによる車体の劣化や電気系統の異常を引き起こす可能性があるため、保管場所にも注意しましょう。
原因②利用者の操作ミスや不注意
電動車いすの事故は、機器の不具合だけではなく、操作ミスや注意不足といった利用者による原因も多くみられます。以下は、よくある操作ミスや不注意の例です。
原因 | 状態・行動 | 想定されるリスク |
---|---|---|
操作への慣れ・過信 | 長年の使用による油断 | 一時停止や周囲確認を忘れ、接触事故につながる |
点検の習慣がない | タイヤの空気圧やバッテリー残量の未確認 | 走行途中で停止したり、誤作動を起こしたりする |
走行ルートの確認不足 | 段差や坂道の見落とし | 転倒や衝突、走行困難で動けなくなる |
交通ルールの知識不足 | 歩道と車道の違いや信号無視 | 危険運転により、他人を巻き込む事故につながる |
慣れによる油断やちょっとした不注意が、思わぬ事故につながる場合もあります。普段の走行や操作中にも、見落としやすいリスクがあることを意識しておきましょう。
電動車いすの事故を未然に防ぐ3つの対処法

ここでは、事故を未然に防ぐための3つの基本対策をご紹介します。
①出かける前の点検を習慣化する
電動車いすで出かける前にはセルフチェックを習慣化すると、故障前の異変に気づくことができます。主な点検箇所と内容は、以下のとおりです。
点検箇所 | 点検内容 |
---|---|
ランプ | バッテリー残量計、ヘッドランプが正常に点灯するか |
スイッチ | 電源・前後進切替・最高速設定・ホーンが正常に作動するか |
レバー | アクセル・クラッチがスムーズに動くか |
駆動部 | モーターに異常音がないか、タイヤの摩耗や空気圧は適切か |
ハンドル | スムーズに操作できるか |
その他 | ミラーや反射材に汚れがないか、配線に破損や緩みがないか |
月に1回程度、専門業者による定期点検の実施も電動車いすの安全性を高めるポイントです。
②操作と交通ルールを確認する
電動車いすは、道路交通法上では歩行者として扱われるため、歩行者としての交通ルールを守る必要があります。安全に利用するために、気をつけるポイントを以下にまとめました。
・通行の際は、歩道や横断歩道を使用する
・信号は「歩行者用信号」を守る
・死角や交差点では一旦停止し、必ず左右を確認してから発進する
・夜間はライトや反射材を活用し、自身の存在を知らせる
・牽引・身を乗り出す・走行中の携帯電話の使用などの危険行為はさける
また、新しい電動車いすで路上へ出る前には、乗り降りの方法や基本操作を安全な場所で練習しておきましょう。操作方法に不安がある場合は、家族と一緒に自治体や販売店で行われている講習会への参加がおすすめです。
③安全について家族で一緒に考える
電動車いすの事故を防ぐには、利用者本人だけでなく、家族のサポートや見守りも欠かせません。高齢者がひとりで利用する場合は、安全への意識を共有することが日々の安心につながります。
家族でできる主な安全対策は以下のとおりです。
・初めての場所に行く時は、家族が同行して安全なルートを確認する
・使用時の体調を観察する(特に、飲酒後や服薬後は判断力が低下するため注意)
・無理のない範囲で家庭内ルールを決める(例:出発前の声かけ・行き先の共有・外出禁止の時間帯など)
遠方に住んでいる、日中は仕事で見守るのが難しいご家族には、電動車いすの状態をリアルタイムで確認できる「モニスタ」のような見守りツールの活用もおすすめです。
電動車いすの事故リスクを減らす「モニスタ」とは

家族の見守りやサポートは事故リスクを減らすうえで欠かせませんが、常にそばにいるのは難しいでしょう。そのような時に頼りになるのが、電動車いす用モニタリングシステム「モニスタ」です。ここでは「モニスタ」の頼れる仕組みをご紹介します。
現在地・走行ルートがわかる
モニスタを活用することで、電動車いすの現在地や走行ルートをリアルタイムで把握できます。万が一、バッテリー切れで利用者が立ち往生した場合でも、居場所をすぐに確認できます。もしもの時にも素早い対応ができる、家族にとって心強いポイントです。
安全運転の状態がわかる
モニスタは、安全運転の状態を数値で確認できる機能を提供します。走行中の段差の乗り越えや接触などによる衝撃を自動で検知し、アラートで表示します。
衝撃の回数や頻度が記録されるため、危険運転の傾向や操作スキルの低下に早期に気づくことが可能です。運転技術や走行ルートの見直しを検討するきっかけにもなります。
外出の頻度・変化がわかる
外出の頻度や変化をデータで確認できるのも、モニスタの強みです。走行距離や使用時間が週・月単位で記録されるため「最近あまり外出していないな…」といった、生活リズムの変化に気づきやすくなります。離れて暮らす家族の様子をいち早く察知する手がかりになります。
消耗品の交換時期がわかる
モニスタは、消耗品の交換時期をデータで把握できる機能を提供します。バッテリーやタイヤの摩耗状況をモニタリングし、交換時期が近づくと電話でお知らせ。必要に応じて専門スタッフが対応するため、安心して電動車いすの使用を継続できます。
まとめ:家族を事故から守る、電動車いすの安全習慣を始めよう

電動車いすは、高齢者の移動を支える心強いパートナーです。
その一方で、日々の小さな見落としが思わぬ事故につながるリスクも抱えています。リスクを減らすには、定期的な点検や安全運転の習慣づけに加え、家族との情報共有による見守り体制が大切です。
さらに、電動車いす見守りツール「モニスタ」を取り入れると、離れていても家族の安全をリアルタイムで確認でき、安心してサポートできる環境が整います。
電動車いすで外出する家族が心配、何か起きる前に備えておきたい……そのような想いをお持ちの方は、ぜひ「モニスタ」の詳細をご覧ください。
「いつまでも元気に出かけてほしい」その想いを、モニスタが支えます。