車いす(手動・電動)利用者が座ったままできる運動と効果を解説!
- 2025.09.30
最終更新日 2025.9.30.
「車いすを使うようになってから、全身の筋力が低下してきた気がする」「体力が落ちて、このまま寝たきりになってしまうかもしれない」このような不安を抱える車いす利用者やご家族は多いかもしれません。
この記事では、電動・手動問わず車いすを利用する方でも無理なく続けられる運動としてストレッチやリズム運動、旅行や散歩など外出の効果についてご紹介します。
さらに外出を運動として日常生活に取り入れる工夫として、見守りシステム「モニスタ」の活用を提案し、安心して体を動かせる環境づくりのヒントをお届けします。
運動を習慣にして、自分らしく前向きに毎日を楽しむ方法をぜひ見つけてください。

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目次
車いす利用者に適した運動とは?

運動といっても激しい動きである必要はありません。ゆっくり腕や腰を伸ばすストレッチや、リズムにあわせて体を動かすことも十分効果的な運動です。 ここからは、座ったままでも取り組みやすく体調や気分に合わせてできる運動方法をご紹介します。
ストレッチ
ストレッチは、特別な道具や広いスペースも必要なく、テレビを見ながら気軽に取り組めるのが魅力です。
ストレッチにはさまざまな効果が期待できます。まず第一に、関節の柔軟性が高まるため、転倒リスクの軽減や姿勢保持の安定につながります。そして、固まりがちな筋肉がほぐれて血流が促進されるため、むくみや冷えの改善にも効果的です。簡単にできるストレッチの例としては、以下があげられます。
・肩をゆっくり大きく回す
・首を左右前後に無理なく倒す
・上半身を左右にひねる
これらは座ったままでも十分な効果を得られるため、車いす利用者にもおすすめです。
ただし、ストレッチを行う場合は無理のない回数・強度・速度で、息を止めずにリラックスして取り組むようにしましょう。また、体が温まりすぎないように適度な室温で行い、汗をかいたら休憩してください。
一度にすべてを行う必要はありません。「今日は肩だけ」「疲れた時は首まわりだけ」というように、毎日の体調や気分に合わせて無理のない範囲で運動を習慣化しましょう。
リズム運動
音楽に合わせて体を動かす「リズム運動」は、椅子に座ってできるメニューも豊富なため、車いす利用者でも取り組みやすい運動です。リズム運動の特長は以下のとおりです。
・リズミカルな動きで自然と体がほぐれ、気分も明るくなる
・音楽に合わせて動くことが脳への刺激となり、認知機能の維持に役立つ
椅子に座ったままラジオ体操を行ったり、好きな音楽に合わせて手を叩いたりするだけでも立派なリズム運動になります。また、音楽の種類やテンポを気分に合わせて変えることができ、毎日続けたい方におすすめです。
ただし、リズム運動を行う場合は、周囲に十分なスペースを確保し動きが大きくなりすぎないように注意しましょう。音楽の合間には意識してこまめな休憩をとり、体調の変化に気を配ります。体温が上がりすぎないよう、合間に水分も補給しましょう。
車いすに座ってストレッチやリズム運動を行う場合は、そのほかにも以下の点に注意します。
・傾斜や段差がない安定した場所で行う
・滑りにくい床で行う
・駐車ブレーキをかける(手動車いす)
・駐車ブレーキをかけ電源を切る(電動車いす)
・転倒につながる運動は避ける
・周囲に障害物がないか確認する(手を伸ばしても障害物に当たらないか)
駐車ブレーキの位置は、車輪の近くや座席の下など、車いすによって異なります。運動を始める前に位置を確認し、しっかりとブレーキをかけましょう。周囲の状況や車いすの状態をしっかり確認し、安全に運動を楽しんでください。
車いすでの外出も立派な運動!家族旅行や散歩のすすめ

座ったまま気軽に取り組める運動は、ストレッチやリズム運動だけではありません。実は、車いすで近所へ買い物や散歩に出かけたり、家族と小旅行を楽しんだりすることも立派な運動です。
外出のための身支度やベッドからの移動など、何気ない動作にも運動効果があります。そして、移動中は道路の勾配や傾斜によって自然に体幹を使うため、ちょっとした外出でも運動効果が期待できます。
ただし、車いすで外出をする場合は以下の点に注意して、安全に配慮しましょう。
・出発前には車いすの点検を必ず行う
・体調を確認して決して無理をしない
・気候に合わせた動きやすい服装を選択する
・目的地や目的地までのルート上のバリアフリー情報を確認しておく
車いすでの外出を「安全な運動習慣」として、日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。
あわせて読みたい記事:「車いす(手動・電動)で家族旅行を楽しむための準備とは?トラブル防止対策も解説」「【電動車いすの点検を習慣に】安心を支えるチェックポイントを解説!」
車いす利用者が運動するメリット3選

車いす利用者が運動をするメリットは多々あります。ここでは、運動によって得られる主なメリットを3つわかりやすく解説します。
①活動量が増加する
車いす利用者が運動を習慣にすると、思いどおりに体が動かしやすくなり、日々の活動量が増えていきます。そのため、以下のような効果が期待できます。
・筋力や柔軟性を保ち、「サルコペニア(加齢による筋肉減少)」や「フレイル(心身の虚弱)」のリスクを減らす
・筋力と心肺機能を高め、ADL(日常生活動作)の低下や寝たきりを防止する
・血流改善で腰や背中の痛みが軽減する
継続的な運動により、自立した生活を長く維持でき、日々をより活動的に過ごせるようになります。
②認知症予防になる
適度な運動により脳が活性化すると、血流が増え神経細胞の活動も高まるため、認知症予防に効果的です。 実際に、継続的な運動によって、認知症に関連するたんぱく質の脳内蓄積を抑制できるという報告もされています。
③気持ちが前向きになる
体を動かすと、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンやドーパミンが分泌され、気持ちが前向きになります。
セロトニンは一定のリズムで体を動かすことで分泌されるホルモンで、不安を和らげて安心感をもたらします。一方、ドーパミンは目標を達成したときに分泌され、爽快感や達成感を与えてくれるホルモンです。
これら幸せホルモンの働きにより、ストレスや不安がやわらぎ、フレイル(心身の虚弱)やうつ症状の予防にもつながります。
特に、仲間や家族と一緒に体を動かしたり外出したりすることは、運動効果に加えて多くの付加価値が生まれます。会話や交流による脳への刺激、外の空気や景色による五感の刺激、そして人とのふれあいによる社会とのつながりなど、これらはすべて認知症予防や気分転換、孤独感の軽減の効果をもたらすでしょう。
車いす利用者の運動不足が招くリスクとは?

これまで運動のメリットを解説してきましたが、反対に運動不足が続くとどのようなリスクがあるのでしょうか。車いすは高齢者の外出や移動を支えてくれる大切なパートナーですが、頼りきりになると筋力や体力がどんどん低下する危険性もあります。ここでは、運動不足が引き起こす主なリスクを2つご紹介します。
①体力が低下して日常生活が困難になる
運動量が減少すると筋力が弱まり、できる動作が限られてしまいます。筋肉は使わなければ急速に衰えるため、運動不足の状態が続くと以下のようなリスクが生じます。
・筋力低下により、立ち上がりや姿勢保持などの基本動作が困難になる
・心肺機能の低下や骨粗鬆症の進行により、転倒や骨折のリスクが高まる
・食欲低下により、栄養不足から体調を崩しやすくなる
高齢者は不意の転倒で骨折してそのまま寝たきりに至るケースも少なくありません。日常生活を健やかに過ごすためには、無理のない範囲で、毎日少しでも体を動かし続けることが大切です。
②孤独感が高まり気持ちも沈みがちになる
運動不足による影響は、体力や筋力の低下だけにとどまりません。身体機能の低下と同時に、心の健康にも深刻な影響を与える可能性があります。 活動量の減少で生じるリスクを以下に示します。
・外部からの刺激や人との交流が減り、気分の落ち込みや孤独感が強くなる
・外出での会話や交流による脳への刺激が減り、認知能力や判断力の低下を招く可能性がある
このような状態が続くと外出への意欲がさらに失われ、「外に出たくない」「人と会いたくない」という気持ちが強くなってしまいます。家に閉じこもった状態が長期化すると、ストレスが蓄積し、うつ症状のリスクも高まります。
外出は単に体を動かすだけの活動ではありません。季節の変化を感じたり、地域の人とあいさつを交わしたりすることで、人や社会とのつながりを保つ大切な機会でもあります。意識して体を動かし外出することで、身体だけでなく心の健康も維持していけるでしょう。
電動車いすでの外出を安全な運動習慣にするために!見守りシステム「モニスタ」の活用

ここまで述べたように、外出は心身の健康に大きな効果があります。だからこそ、安心して外出を続けるための工夫は欠かせません。
電動車いすは、近所の散歩から少し遠出の旅行まで、高齢者の行動範囲を広げてくれる頼もしいパートナーです。しかし、事故や迷子など思わぬトラブルの心配もあり、不安から外出を控えてしまう方も少なくありません。
電動車いす用モニタリングシステム「モニスタ」は、利用者が抱える事故や迷子などの不安を軽減し、外出を安全な運動習慣にするための心強い味方です。
管理画面から現在地や走行軌跡、活動エリアを確認できるため、家族は電動車いす利用者の外出を安心して見守ることができます。また、週・月・過去6か月単位の走行距離や時間も表示されるため、外出状況の変化を把握することも可能です。
そして、利用者自身も「居場所が家族に伝わる」という安心感から、気持ち良く旅行や散歩を楽しめます。電動車いすで安心して外出を続けるためのサポートとして「モニスタ」を活用し、心身の健康維持に役立ててください。
まとめ:車いす利用者でも無理なく運動・外出を続けて、生き生きとした毎日へ

ストレッチやリズム運動であれば、車いすに座ったままでも簡単に行えます。
また、車いすで近所を散歩したり家族と旅行を楽しんだりすることも立派な運動です。そして、こうした運動を継続することで、筋力や体力の維持はもちろん、認知症予防や心の安定といった幅広いメリットを得ることができます。
反対に、運動不足が続くと体力の低下や気持ちの落ち込みを招き、寝たきりや閉じこもりにつながる可能性もあります。だからこそ、できることから少しずつ運動を始めてみるのが大切です。
「運動習慣として外出を取り入れたいけれど、事故や迷子が心配」と不安な方は、見守りシステム「モニスタ」を活用するのも一つの方法です。利用者や家族が安心できる環境があれば、外出を前向きに楽しみやすくなるでしょう。
小さな運動の積み重ねが生き生きとした毎日につながります。安全に気を配りながら、無理のない範囲で今日から運動を生活に取り入れてみてください。