電動車いすの転倒防止方法とは?原因から事例・対策まで詳しく解説!
- 2025.11.27
最終更新日 2025.11.27.
「電動車いすは便利だけれど、転倒が怖い」このような不安を抱いている方は多いでしょう。電動車いすは、わずかな段差や傾斜であっても乗り上げた際にバランスを崩しやすく、転倒や事故につながる恐れもあります。
この記事では、電動車いすの転倒原因と防止策、安全な走行をサポートする「モニスタ」について紹介します。不安を減らして、自由で安心な外出を楽しむために、ぜひ参考にしてください。

電動車いす、電動カートのレンタル・販売を行う専門会社。高い技術力と豊富な実績で運転指導からメンテナンスまでトータル的にサービスを提供。そのほか歩行器のメーカーとしても、超コンパクトサイズから大型モデルまでラインナップ豊富に展開。
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目次
電動車いすで転倒する主な原因とは

電動車いすで転倒する原因は、道路の状態・視界の問題・カーブ走行時の特性・タイヤの劣化などさまざまです。ここでは、特に事故につながりやすい4つの原因を解説します。
段差や傾斜によるバランスの崩れ
段差や傾斜は、電動車いすの転倒原因として最も多く報告されています。電動車いすは30〜100kgを超える重量があり、重心も高めです。そのため、わずかな段差でも前輪が持ち上がることにより、うしろに転倒してしまう危険があります。
また、電動車いすには、機種ごとに安全に走行できる傾斜の角度(登坂能力)が定められている場合がほとんどです。規定以上の急な坂道や傾斜地での走行は、車体が不安定になり転倒する恐れがあります。無理な段差の乗り越えや急な坂道を避け、できるだけ平坦なルートを選びましょう。
視野の狭さによる段差・障害物の見落とし
電動車いすに座った時の目線の高さは約120cm(小学校低学年程度)です。そのため、停まっている車両や植え込みなどに視界を遮られやすく、段差や縁石、歩行者などに気づきにくい場合があります。
安全走行のためには、見通しの悪い場所では意識してスピードを落とす、人通りの多い場所では一時停止して周囲を確認するなど、慎重な判断が必要です。
内輪差による後輪の乗り上げ
ハンドル形電動車いすは、カーブを曲がる際に前輪より内側を後輪が通る「内輪差」が生じます。この特性により、段差や縁石に後輪が乗り上げ転倒するだけでなく、内側にいた歩行者と接触して事故につながるケースもあります。
カーブを曲がる際には必ず減速し、できるだけ大きな円を描くようにハンドルを切ることを意識しましょう。
タイヤの劣化によるスリップ
タイヤが劣化するとグリップ力が低下し、濡れた路面で滑りやすくなります。また、屋内で使用するケースもあるジョイスティック形電動車いすの場合、滑らかな床で急にスリップし、転倒に直結する危険性もあります。
日頃からタイヤをこまめにチェックし、摩耗やひび割れ、空気漏れなどの劣化を発見した場合は、専門業者に依頼して早めに交換しましょう。
あわせて読みたい記事:「電動車いすのタイヤ交換|必要性・目安・交換方法などを徹底解説!」
電動車いすの転倒「ヒヤリハット」事例

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の調査によると、2023年までの10年間で高齢者が関係した電動車いす事故は52件。そのうち、約半数が転落・転倒の事故であったと報告されています。
ここでは、実際には転倒には至らなかったものの「危険な状態に陥ったヒヤリハット事例」4件を紹介し、どのような行動が危険につながるかを解説します。
事例1|転倒防止バーを使わず段差を越えようとして転倒しかけた
ジョイスティック形電動車いすで、利用者が転倒防止バーを格納したまま、減速せずに段差へと侵入したことで、車体がぐらつき転倒寸前となった事例です。
【この事例で考えられる原因】
・転倒防止バーセットの失念
・段差を通過する際のスピード超過
・安全機能の役割や必要性への理解不足
安全装置を正しくセット・使用すれば、転倒を回避できます。また、電動車いすの速度を利用して段差を乗り越える危険行為は絶対に避けましょう。
事例2|段差を斜めに上り、車体が傾いて転倒しかけた
ジョイスティック形電動車いすで歩道に上がろうとした際、段差に対し真正面から入らず、角度をつけて侵入したことで、車輪が取られて車体が傾き、利用者が振り落とされそうになった事例です。
【この事例で考えられる原因】
・段差への進入角度が不適切であった
・焦りにより操作に乱れが発生した
・侵入箇所の段差の状態をよく見ていなかった
転倒を避けるためには、段差に対して必ず正面から向き合い、低速で越えることが重要です。
事例3|下り坂で急ハンドルを切り、転倒しかけた
ハンドル形電動車いす(シニアカー)で坂道を下っている最中、ボールが突然目の前に出現したため、回避動作でハンドルを急に切った結果、車体が不安定になり転倒しそうになった事例です。
【この事例で考えられる原因】
・下り坂での速度超過
・突発的なハンドル操作
・周囲の状況に対する注意不足
坂道では進入前にスピードを落とし、急な操作をせず直進を保ちましょう。また、着座中は視界が限られるため、常に周囲を警戒し低速走行を徹底することも重要です。
事例4|電源を切り忘れ、降車時に急発進して転倒しかけた
ハンドル形電動車いす(シニアカー)から降りる場面で、電源をオフにしたと誤認したままハンドルに触れたため、アクセルバーに触れることとなり、意図せず車体が発進し転倒しかけた事例です。
【この事例で考えられる原因】
・電源オフの誤認
・意図しないアクセルバーへの接触
操作ミスによる発進事故は、車両から離れる(乗り降りする)際に、電源スイッチを確実にオフにする習慣を付けることで回避できる可能性が高まります。
あわせて読みたい記事:「電動車いすによる事故発生の背景と原因!未然に防ぐ対処法も解説」
電動車いす転倒防止のための4つの対策

ヒヤリハット事例からも分かるように、電動車いすが転倒しそうになる原因は操作ミスです。ここでは、転倒を防ぐための対策として、安全な操作方法だけでなく、安定した走行を支える装備の整え方や家族との連携について具体的に紹介します。
①安定して走行できる装備を整える
転倒を防ぐためには、まず電動車いすの安全装備を知り、正しく整えることが重要です。
<装備のポイント>
・転倒防止バーを展開する
・自動ブレーキ機能を活用する
・最高速度を調整する
ジョイスティック形電動車いすの場合は、転倒防止バーを適切にセットし、補助輪をきちんと下げてから使用しましょう。ジョイスティックから手を離すと自動でブレーキがかかる仕組みがあるため、急な坂道でも落ち着いて操作すれば転倒を防ぐことが可能です。
また、ジョイスティック形電動車いす・ハンドル形電動車いすのどちらにも、最高速度を調整する機能が搭載されています。利用者の体調や道路状況に合わせて事前に速度設定を見直しておくと、不意の加速やふらつきを防止し、より安定した走行につながります。
②段差や傾斜では無理をせず慎重に走行する
段差や傾斜は、電動車いすによる転倒事故が特に多く発生する場所です。
<特に転倒リスクが高まる場所>
・急な登り坂・下り坂
・大きな段差・溝
・凸凹の激しい道
・砂利道
坂道では、急ハンドルを避けてまっすぐ進み、身体の重心を斜面の高い方へ寄せるとバランスが取りやすくなります。また、速度はできるだけ低速に保つと転倒を防げます。
段差を越えるときは、斜めではなく直角に進入するのが基本。また、なるべく平坦な道を選ぶことも大切です。焦らず慎重に運転し、転倒のリスクを減らしましょう。
③交通ルールを守る
電動車いすは道路交通法上「歩行者」として扱われます。
<走行時の基本ルール>
・歩道・横断歩道を利用する
・歩行者用の信号機・道路標識の指示に従う
また、夜間の利用は視認性が下がり、段差や障害物を見落とすリスクが高まるため、できるだけ避けましょう。やむを得ず外出する場合は、反射材を身につけるなど、周囲から見えやすくする工夫が必要です。
交通ルールを守り、自身の姿を周囲にしっかり認識させることが、転倒を含むさまざまな事故防止に役立ちます。
④家族と一緒に安全確認を習慣化する
ここまで紹介した①〜③の対策は、利用者自身が気をつければ、転倒防止に効果的な方法です。しかし、高齢者が常に転倒の危険を意識しながら外出するのは簡単ではありません。体調が悪い日や、慣れた道での油断が事故につながる可能性もあります。
そこで重要になるのが、家族による声かけや見守りの習慣です。
<効果的な行動の具体例>
・運転中の携帯電話や体を乗り出す姿勢を注意する
・外出前に体調や服装・飲酒の有無を確認する
・外出ルートや帰宅予定時間を共有する
・日常点検を一緒に行い、タイヤの劣化や異常を早期発見する
家族と一緒に安全確認を行えば、利用者だけでは見落としがちなリスクにも気づくことができ、安心して外出できる環境が整います。
あわせて読みたい記事:「【電動車いすの点検を習慣に】安心を支えるチェックポイントを解説!」
電動車いすの安全運転の確認に!見守りシステム「モニスタ」の活用

転倒防止には正しい操作や家族の見守りが有効です。しかし、点検の習慣化や、家族が毎回付き添うことは現実的に難しく、外出中の様子を把握できないことに不安を感じる方も少なくありません。
そこで役立つのが、離れていても安全運転レベルを確認できる見守りサービス「モニスタ」です。
モニスタは、接触や無理な段差越えなど強い衝撃を感知すると管理画面にアラートが表示される仕組みです。離れていても専用ページから危険な運転の兆候や場所を把握でき、運転技術の見直しやルートの調整といった対応につなげられます。
また、走行データからタイヤやバッテリーなどの消耗部品の劣化を予測し、交換時期が近づくとスタッフが電話でお知らせします。さらに、外出中の現在地もリアルタイムで確認できるため、万が一のときも居場所がわかり早めの対応が可能です。
モニスタを活用すると、見守りと整備の両面から転倒を防ぎ、利用者と家族の不安を減らすことができます。
まとめ:電動車いすの転倒防止を心がけて安全で快適な外出を楽しもう

電動車いすの転倒は、ちょっとした操作ミスや、路面の傾斜・段差といった環境への対応不足が原因で起こるケースが少なくありません。外出中の転倒を防止するためには、装備の点検や安全な運転操作はもちろん、家族との連携を意識することが大切です。
さらに、「モニスタ」のような見守りサービスを活用すれば、離れていても管理画面から危険な状況をいち早く把握でき、利用者と家族それぞれの安心につながります。日々の点検と声かけで転倒を防止し、電動車いすの外出を安全で快適に楽しみましょう。



